ピアス、イギリスに帰国。〜拝啓、19歳のピアスへ〜

ついに、ピアスがイギリスに帰国する日がやってまいりました。
相変わらず、駅の券売機前でモタツくピアス。

重い荷物を転がし、ようやく車内に。
最後の阪急電車だよ、というとなんとも物優げな表情。

バス乗り場まで、もうすこし。よいしょっと。

やっと関空行きのバスに乗車。割と混んでます。

関空到着。空港が大好きなボク。別れと出会いが交錯する場所。

さて、カウンターでチェックインです。

チェックインを済ませたピアスに、ボクから最後のプレゼント!
君が、日本に来て一番好きになったモノ。
ファンタグレープ!

一気に飲み干す。美味しいかい、ピアス?
イギリスでは無いらしいから、味わいなさいよ。

では、そろそろ行こうかね。
くれぐれも体に気をつけて頑張るんだぞ、ピアス!
鬼教官も今日、一ヶ月の激務から卒業しますよ。

なっ、なんや?手紙くれるのか?

女子かよっ!?
でも、うれしいよ、サンキュー!
はな、元気でな〜。また、おいで!

君が乗って帰るのはこの飛行機でしょうか?

次々に飛び立つ飛行機。


自宅に戻って、ピアスの手紙を開けてびっくりです!!
6,000円が同封されてるやないですか。

お金はいらないってあれほど言ってあったのに。

手紙には、こう書かれてました、、、

しろうさん、ホームステイさせてくれてありがとうございました。
時にキビシく、時に優しく、とても楽しい時間を過ごせました。
あなたはお金なんか絶対欲しくないのは分かってますが、ワインをプレゼントしようとデパートに行ったら、パスポートを見せろというので、買えませんでした。
どうか、このお金で美味しいワインを買ってください。
いつか、ぼくらのプロジェクトが成功したら、イギリスのパブでワン パイントをおごらせてください、、、、

君は、どんだけええ奴やねん。ボクが19歳の時には、そんな粋な事できなかったよ。
学生の君にとっては、6,000円なんて大金だったろうに。
それを知ってて、鬼教官が、このお金使えると思うかい?

今度、君が日本に来るときまで、このお金は手紙と一緒に取っておくよ。
また、2人で焼き肉行こうな、ピアス。
ドリンンクバーでファンタグレープ飲み放題だしね。

では、ボクから君への手紙です。
いつか、、、君が日本語を、もっともっと話せるようになり、漢字も読めるようになったら読んでください。

拝啓、19歳のピアスへ

ちょうど一ヶ月前、鈍色の梅雨空の神戸にやってきた君。
リムジンバスからボクを見つけて、軽く手を振った君は、初めて会うのに、なんだか懐かしい感じがしました。
三宮の駅で、すごいですね〜と驚いた君は、数日後、大阪難波駅という名のカオスに飲み込まれ、2時間も出口を探して彷徨い、また、その数日後、新宿駅というモンスターに完全に翻弄され、3時間も迷子になりましたね。
それも、今となっては良い思い出でしょう。

カメラを持ってなかった君に、無理矢理デジカメを買わせて、写真を撮らせまくった鬼教官。
何百枚も残った記憶の断片。
様々な日本の町を尋ねる事ができ、そのコントラストに心を奪われた事でしょう。
いずれ、君の血となり骨となる事でしょう。

先ほど、君の居なくなったリヴィングを掃除していて思いました。
ひと月、ずっと置いてあった大きなスーツケースがなくなり、君が一日の大半を過ごしたソファーには、当然誰もいません。
あんなに狭かったこの部屋が、なんだかガランとしてしまったよ。
なんだか、ぽっかり 穴あき in Japanです。

日本に来てから、七夕の短冊にも彼女が欲しいと書いていたピアス。
ロンドンの日本食材店の掲示板にLanguage exchange の希望でも書いとけば、日本人の友達もできるから、すぐ彼女できるよ!と言うと、見た事の無いくらい目を輝かせた君。
そういうの、悪くないよ。

東京でお世話になったM夫婦。イギリス人のだんなさんは、色々君にアドヴァイスをしてくれたね。今後もしっかり、彼についていきなさいよ。

岐阜でお世話になったN君家族。間違った場所でバスを降りた君を必死に探してくれたN君。こんな事が無ければ出会わなかった人たちでしょう。君との休日は最高に楽しかったってよ。
いつか、N君達がイギリスに行く事があれば、全力でサポートしろよ!

京都に連れて行ってくれた、同じ年代のIちゃん。お金のかからない京都散策でしたが、随分と日本の印象も変わったでしょう。これから、2人は、一緒に仕事も進めて行く事になるから、密にコンタクトをとってくださいね。

滋賀県で美しい景色と、おいしい食事を提供してくれたN家族。はじめて会った君にも、あんなに優しくしてくれましたね。
みんなでお昼寝したり、随分リラックスできましたね。また、本当においしい、らうめんを食べに行きましょう。

神戸でお世話してくれた兄家族。お好み焼きパーティーはワイワイ楽しかったね。丹波での陶芸体験にも連れて行ってもらって、本当に君はラッキーだよ。焼き上がったら、イギリスに送ってくれるらしいから、自分で作ったカップは大事に使いなさいよ。

そして、淡路島でお世話してくれた両親。ほんとに色々な所に連れて行ってくれたでしょう。おいしいものをたくさんご馳走になりましたね。
ランチだけでなく、仕事の現場にもピアスを連れて回った父。
イギリス人を連れて、田舎町を優越感に浸りながら闊歩した母。
ふたりとも、君が帰国する事を、とてもとても寂しがっています。手紙の一つでも書いてあげてくださいね。
もちろん、日本語で。

そして、ボクは随分と君に対してキビシくしてきましたね。日本のマナーや、目上の人に対する言葉使い。何事も準備して取りかかれ、とか、タダほど高い物はないとか。
それら、全ては、ボクが19歳の頃にちっとも出来てなかったことです。
君を通して、自分を見ていた気がします。
異国の地で随分辛い思いもさせた事を謝るよ。ごめんな、ピアス。
随分と勉強させてもらったよ。ありがとう。
しろうさんの結婚式には来ます、と言ってくれた君。
ここだけの話、Q数しぼって聞いてほしいけど、そんな予定ないからな、、、
でも、うれしいよ、ありがとう。

君は、日本で本当にたくさんのものを与えてもらったと思います。
いつか、自分が返せる時が来るよ。それは、直接お世話になった人に返さなくてもいいからね。
自分の近くにいる若者に手を差し伸べてあげなさい。
でも、本当の事をいうと、君に出会ったみんなが、君から沢山の物をもらってるんですよ。
こんな、短期間で、みんなが君の帰国を寂しがるなんて、不思議なものです。
それは、君が持って生まれたものです。
時に、どんくさく、時に、はにかむ君は、梅雨空の下、鮮やかな光彩を放ち、皆の記憶の一部になりましたね。
ずっとドンヨリしていた梅雨が明けてから、僕たちの関係も随分とクリアーになりました。
今日もLovely dayでしたね。

最後に、なにか良い曲を送りたいな思っています。
いつもの、鬼教官なら、ちょっと小洒落た選曲をするんですが、僕らにはこんな曲がお似合いかもね。
では、しばしお別れです。
See you!

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